cafe nanca,様の「夢、叶」ストーリー。
投稿日:2025.08.02
「日々の頑張りが報われる場所をつくりたい」
そんな思いからカフェオープンという夢を描きはじめた、「cafe nanca,」 オーナー・小松様。
ロッカク工務店では店舗デザインから施工までを担当させていただきました。
今回のインタビューでは、開業準備や物件選び、そして夢のきっかけとなった
「居心地の良さ」への想いについて、お話ししていただきました。
お店オープンという夢を、一歩ずつカタチにしていった小松さん。
これから何かを始めたいと考えている誰かの、背中を押すきっかけになれば嬉しく思います。
今回のインタビューでは、これから開業を目指す方に向けて、
小松さんご自身の経験を振り返りながら、開業までの準備や当時の想いを語ってくださいました。
――まず初めに、開業についてお聞かせください。どのような順番で準備を進めていかれたのでしょうか?
物件探しから始めました。それと同時進行で、私はお金を借りる選択をしたので、融資を受けるため商工会議所に行きました。その後、物件がある程度決まってから内装業者さんや仕入れ先を自分で探して、どんどん詰めていきました。
――小松さんが前職のカフェで働かれていて、そこから独立するために動き出すきっかけは何だったのでしょうか?
元々27歳ぐらいでカフェを開きたいと思っていたんですけれど、24歳の時に、その、フッとこう…
どの職場でも一生懸命働いていましたけど、それが「どういう風に報われているのかな?」と思って、どういうタイミングで頑張りが形になっているのかがあんまり見えなくて。
その時に心の拠り所であったり、お店を作るきっかけになった「頑張りが報われる空間」というのが、私はカフェだったんですね。
カフェに行った時に「もうこれは今すぐ私がやらなきゃいけない」って、なんか使命感みたいなものを感じて、そこから動き出しました。
もともと独立したいと思っていろんな所で働いていたんですけど、思ったより早くお店を持つタイミングがきました。
――「カフェで報われた」というのはどういう感覚だったのでしょうか?
店員さんに何か良くしてもらったとかそういうわけではなくて、そこにいる時間だけ「頑張ったな、私。」と思えました。
自分で働いたお金で美味しいものを食べて、カフェで過ごしている時にそう感じました。
大袈裟に言うと、「息しているな」みたいな!
本来の私らしくいられる場所、という感覚でした。
――何か特別なことがあるわけではなく、自分らしくいられる場所だったということですね。
開業準備で大変だったことはありますか?
うーん…はい、いっぱい。(苦笑)
物件探しも大変でしたし、一人でやると最初から決めていたので、自分のキャパとの戦いというか…。
やりたいと思っても一人で出来ることに限界もあって…色々大変でしたね。
Check✓
開業までの道のりには、物件探しや工務店選び、各種届けや検査、そして経営面の準備まで、たくさんのことを一つずつクリアしていく必要があります。それらをすべて、仕事と両立しながら一人で進めてこられた小松さん。振り返ると、「当時のことは正直あまり覚えていないくらい大変でした」と話してくださいました。
では、そんな中で理想のお店を実現するために、不動産会社や私たち工務店とどのようにイメージを共有していったのか。お話をお聞きしました。
――打ち合わせの時に、「言葉にするのが昔からあまり得意ではなかった」ということを仰っていたんですけれども、伝えるために特別に準備をしたことはありますか?
話すだけでは私の力ではお伝えしきれないと思っていたんで、事前に資料を用意しました。文字と写真と、全部合わせて伝えて良かったと思いました。
(現場調査の様子。イメージ資料を元に内装デザインを考えていきます。)
――打ち合わせの時にイメージが出来上がっていることがすごく伝わりました。イメージも1人で考えていたのでしょうか?
大学生の時から今も週に1回、1日3件カフェに回っているんですよ。その中でどんどん自分がやりたいお店のイメージが 出来てきました。好きだからっていうのもあるんですけど、勉強で回っています。
――経営のことや資金調達なども全て1人で調べていたのでしょうか?
1人で調べました。本やユーチューブなど、いろいろ情報が出ていますし、仲のいい飲食店さんに相談させていただいたりとか。
お金を借りるために商工会議所の方には、学校に通うような気持ちで、教えていただきました。
開業準備当時のことはもうあんまり覚えていなくて、記憶が飛ぶぐらい…。
調べたら情報は出てくるんですけど、いいことしか書いてなかったりして。
Check✓
開業の情報は多く、何を信じて進めるべきか迷うこともあります。
今回弊社ではデザイン・施工を担当しましたが、物件探しから資金調達、店舗の引き渡しまで、開業をトータルでサポートすることが可能です。
働きながらでも安心して準備を進めていただけるよう、しっかりと寄り添ってまいります。
――次に物件の決め手を教えてください。
実は私が見つけた場所ではないんです。当初別のエリアで探していたのですが、あまりに見つからないので不動産会社の方から範囲を広げる提案があって、それでこの物件を見つけてくださいました。
その時も不動産会社の方にお店のイメージ資料を渡していたので、その資料を参考にここを見つけてくださいました。
――いつから物件を探し始めたのでしょうか?
物件探しは、今からちょうど一年前ですね。
昨年の7月から半年間ぐらいずっと色々見に行って探していて、 不動産も5~6件行きました。 それで最後の不動産屋さんが見つけてくださいました。
――7月から探していたところは、ピンとこなかったとのでしょうか?
それもありますし、いいと思っても時期的に借りられなくて。1年前から探しているので、「早いですね」っていう…。
契約してしまうと空家賃を払い続けないといけないので、それが無理だと借りられないので。
ここの物件は資料をもらった時から「ここだな」っていう…なんかビビってきたものがあって。 実際見てみたら、その直感が当たっていました!
――横川にお店を出してどうですか?
本当にここにして良かったなって心から思います。
住んでいる方々も世代の幅が広いですし、暖かい。
とにかく暖かいです!
ーーお店づくりについてお聞きしたいのですが、予算とのバランスで悩んだことはありますか?
たぶんなんですけど…私が好きなものが割とお金がかからなくて。 もっとピカピカつやつやな、ホテルみたいな綺麗さを求めたら、結構お値段が張るのかな?と。
私が好きなのが、むき出しな感じとか、木の目の粗さとかそういったもので、そのため「これめっちゃ我慢したな」 というのはなくて、本当に理想通りでした。
全部要望が聞いてもらえた感じで、うん…本当に全部叶えてもらいました!
ーー工事前や完成後に「もっとこうしておけば良かった」など、もしあったら聞きたいんですけれども…なさそうですね…!
もう、むしろ褒めてもらえることばかりで、大満足です。
後悔とかも思いつかないですね。
今回の施工では、もともとの赤いタイルや収納棚など、物件の良さを活かした設計に。 塗装はオーナー様自ら手がけることで、予算を抑えるご提案もさせていただきました。 弊社ではお客様のご希望・ご予算に合わせて、柔軟に対応しています。
(小松さんのお気に入りスポットである、キッチンカウンターから見た景色。お気に入りの理由は「全部がマッチして いるところ」とお話ししていただきました。)
――お店づくりについて、特にこだわったところはありますか?
居心地の良さですね。
たとえばレジの位置なんですけど、最初は(入口から見て)右側にという提案があったんです。 でもレジを右側にすると、お客様の流れがそこに集中してしまって。 右側の席って、一人で来られるお客様が多いんですよ。そういう方が一人の時間を楽しみたいと思っている時に、目の前がせわしないと落ち着かないんですよね。それでレジは左側に寄せてもらいました。
あとは製氷機の位置も、右側だとお客様との距離が近く、氷の音が気になるので左側にしてもらったり…それからテーブルの数も、4人がけのテーブルは切り離せるようにしました。
――製氷機は打ち合わせ前から左側にしようと思っていたのでしょうか?
そうです!
さっきお話ししたように、カフェに何件も回っているというのは、もちろんカフェが好きだからというのもあるんですけれど、自分がお店に行った時に「これ、ちょっと気にする人もいるかもな」っていうのを、勉強しに行っているというのもあります。 私は何とも思わなくても、隣に座っていたお客様がちょっと嫌そうな顔をしているなとか、そういうのを見ても勉強になります。製氷機の位置も、そういう中で自分が感じ取って、決めました。
――お店が完成して、初めて中に入った時、空間にすごく“余白”があるという印象を受けました。
たとえばもっと売上を上げようと思ったら、席数を増やした方がいいんですけれど、逆にその席数で「居心地が悪い店だったな」っていう印象で帰られるよりかは、ちょっと回転が悪くても「また来たい」って思ってもらいたかったので、あえて余白があるようにしてます。
隣の人同士の距離感や、私とお客様の距離感を大切にして、カウンターを作らなかったのもそれが理由です。 近すぎず遠すぎず、ちょうどいい距離感を意識しました。
――空間に対する意識をとても強くお持ちですよね。
小松さんの描かれるイラストを拝見した時、お店の空間の使い方と通じるものがあると感じました。余白の多さや、間の取り方に小松さんならではのこだわりが現れているように感じました。
(びっくりした表情で)すごい、視点が…すごいです! 余白は意識しています!
絵を描く時に余白を作ることを意識していて、それでもちょっと大きくなっちゃうんですけど……そこに気づいてもらえると思っていなかったです!
(約12坪に9席と、どの席でもゆったり座れる配置。この余白には居心地の良さにこだわった小松さんの想いが詰まっています。)
――打ち合わせや工事の中で印象に残っている出来事があれば教えてください。
やっぱりお客様のことを考えながら、配置、木の質感や模様・厚さなどを決めていく時はすごいワクワクしましたね。
――お客様のことを常に考えていますよね。
それが一番やりがいも感じますし、喜んでもらえた時が嬉しいので。
――ターゲットとして想定しているお客様の層は、どのあたりでしょうか?
30代以上の女性の方をメインターゲットにして、メニューを考えています。そこに向けてメニューは考えているんですけど、意外と広がるんですよね。 18~19歳や20代前半の若い方でも、ちょっと大人の味が好きな子もいたりするので。メインは30代以上の女性の方なんですけど、意外と広がります!
――器や照明など、お店とぴったりだなと思って、どういう基準で選んでいるのでしょうか?
最初は万人受けするものを選ぼうと思っていたんですよ。 お皿もシンプルで、男性も入りやすいようにと思っていたんですけれど、それだと他のお店でもいいよねっていう…自分がそもそも、そのシンプルなお皿を良いって思っているのかな?と思った時に、なんか違うと思って。 じゃあときめいたお皿ってなんだろう?と考えた時に、普段から使わせてもらっている器を選びました。 雑貨とかも全部、自分がときめくかどうかということを基準にしています。
――扇風機とかも、物を持ってきたというよりかは、「空気」みたいなものを持ってきたような。自分の雰囲気みたいなものを大事にしているんだと感じました。
そうですね…でもこの可愛すぎる空間とか、どうしても人を選ぶので最初はすごい反対されました。
男性の方には入りづらいとは言われます。
――それでも、自分の「ときめき」や雰囲気を大切にすることで、お店の個性が生まれ、ターゲットとなるお客様にもその魅力が自然と伝わるのだと感じています。
――お店を始めてから想像と違ったことは何かありましたか?
想像以上に皆さんの反応が良かったですね。 最初は、1回来てもその後来ないみたいな感じが多いのかなって思っていたんですけれど、本当に我が子を見守るような目で、みなさん温かく見守ってくださっていて。 それで何回も通ってくださったり、本当に良くしてくださっています。
びっくりというか反応が良かったことに、もうありがたい気持ちでいっぱいですね。
大変だったことでいうと物件や設備のこととか…想像していなかった大変さはありました。
――カフェのオープンから1ヶ月半ほど経って、嬉しかったエピソードやお客様の反応で印象に残っていることはありますか?
いっぱいあるんですけど…お客様から「ここに来るのを楽しみにしてました」っていう言葉をよくいただくんですけど、ここから帰る時も「すごく幸せな気持ちでした」って言ってもらえた時は、もう、わ~!!って思いました!
――それは嬉しい言葉ですね!
じーんときました。 伝えてくださらなくてもまたすぐに来てくださった時とか、最初は一人で来ていたけれど、次にお友達やお子さんを連れて来てくださる方も多くて「気に入っていただけたんだな」と感じられて、とても嬉しかったです。
――以前お話をお伺いした時に、「私のいいところは根性と度胸があるところ」と仰っていましたが、今日のカフェ巡りのエピソードや、1人で準備を進めてこられたお話を聞いていても、まさに体育会系のような印象を受けました。 改めて、今その強みをどう感じていますか?
変わらず根性と度胸がある…
――ジャンプみたいですね。
(一同笑)
それだけが取り柄って言ってもいいぐらい、ちょっと心が沈む時もあるっちゃあるんですけど、そのたびにその言葉が浮かんできて、ここで折れてられないなっていう。
――夢を追いかけている中、カフェを嫌になったりしんどかったり、カフェを開くという夢自体くじけそうになった時はありましたか?
全然ありますね。 開業に向けて動き出してる時にでも、物件が見つからなかったりとか、メニューが決まらないとか。
でも、悔しいこと言われた時のこととか思い出して、ここで折れたら思うつぼじゃんとか思って。
――悔しさをエネルギーに変えていますね。
そんな中でも夢を持ち続け、行動し続けられたのはなぜだと思いますか?
悔しい気持ちと反対に、期待してくださっている、待ってくださっているお客様がいたこと。この2つですね。 物件探しとかも(なかなかうまくいかなくても)ここで折れたらダメだと。
――お店が完成して、さらにその先にある夢や目標があれば教えてください。
とにかく続ける。 ずっと続けていたいんですよね。
いつ来ても、いつもの人がいて、ホッとする存在でありたい。
――昔の自分みたいに勉強に来る人がいるかもしれませんね。
最後に今まさに夢に向かっている人や、これからお店を始めたいと思っている方へ、メッセージやアドバイスをお願いします。
やりたいって思ったことに対して、プラスなこともマイナスなこともどちらもたくさん言われると思うんですけど、「やりたい」て思った気持ちは忘れずにいてほしいなって思いますし、迷った時はその時の自分に戻れば絶対にその気持ちが途絶えることはないと思うので… 自分の色を大切にしながら頑張ってください!
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夢を進む人にとって、くじけそうになる瞬間は誰にでもあるものだと思います。
小松さんも、不安や迷いを抱えながら、それでも「やりたい」という気持ちを信じて進み続けたからこそ、理想のお店が形になったのだと感じました。 考えて、行動して、やりきる。その姿勢が何よりも大きな力になるのだと教えていただいた気がします。
インタビューの中で「営業時間が本当に好きで、この空間で過ごされているのを見るだけでも心が温まります」と話されていた小松さん。お客様にとって居心地の良い空間をつくるために、一つひとつ丁寧に考え抜かれていて、お店づくりに関する質問すべてに明確な答えがありました。
今回、ロッカク工務店ではデザインから施工までを担当させていただきました。
インタビューでは、開業までに資金調達や物件探し、さらには契約後に想像していなかった大変さがあったことも率直にお話ししてくださいました。
弊社ではそうした開業に伴うさまざまな不安に寄り添い、物件探し・資金調達のご相談から設計・施工、店舗のお引き渡しまで一貫して対応可能です。
開業という大きな一歩を、理想のお店を形にするためにー
これからもお客様とともに、丁寧につくり上げてまいります。
小松様、本日は貴重なお話をありがとうございました!
cafe nanca,
広島県広島市西区三篠町1丁目13-9中谷ビル1階
2025年6月5日オープン
営業時間や定休日はお店のSNSをご確認ください。
インタビュー 藤村有希・筆本聡
撮影 三川麻衣子